萩温泉 源泉の宿・萩本陣 街の高台にある温泉自慢のお宿(初日) ~ 山口・萩の旅(その7)
8/29からの3日間、山口・萩の旅。
さて前回の記事より…東萩駅から今回のお宿『萩本陣』へ何となくモヤモヤザワザワした気持ちを抱きながら向かった。
地図で見ると歩いてもそれほど遠くない距離だと思ったのだが、歩いてみると思ったよりある。高台にある宿は見えるのだが随分と遠く感じた。
スキーバックの車輪が壊れないかなぁと心配しながら、ようやく道路沿いより萩本陣へ続く坂道のところに辿りつく。
そこからエイヤッ!と最後の気合を入れて数百メートル上ったところにようやく大きな建物が目の前に見えた。
ここまでの道のり約23分。それなりに涼しい日だったのだが頭から汗だくである。
宿の人が出迎えにきてくれて、歩いて来られたんですか?と聞かれたので東萩からと言うと。あらあら…という感じで連絡をくれれば駅までお迎えに上がりましたのにと言われてしまった。まぁそうですよねぇ…
荷物をフロント前まで持って貰って、まずはここで少し休んでくださいとのお言葉。ようやく人に触れ合って孤独感から解放されてホッとする。
別の時間帯に撮ったものだがフロント周辺はこんな雰囲気。いかにも史跡の町、萩らしい落ち着いたフロントだ。
周りを見渡すと、何組かがチェックインの手続きをしていた。目の前に大きな駐車場といい、萩の街は車で来る観光客が圧倒的に多いのかもしれない。
萩には2泊の予定で1泊目はこの萩本陣で、2日目は駅前のビジネスホテルあたりをと考えていたのだが、あいにく2日目の土曜日はどこも満室。予算的にも土曜日の観光旅館やホテルはキビシイのでどうしたものかと探していると、この萩本陣ではビジネスプランといって素泊まりもしくは朝食のみのプランで、上の写真に写っている本丸と呼ばれる建物とは別の東の丸という建物のほうに泊まるプランがあるのだ。
できればいろんな宿を泊まってみたかったのだが、まずは宿を確保するのが最優先なので2泊ともこの萩本陣にお世話になることとなった。
一泊目に泊まる部屋は3Fにある洋室ツインの山側の部屋。萩の町並みが一望できるのがこの宿のウリの一つだが、残念ながら予約した時期のタイミングが遅かったのもあるのだろうか、洋室の山側のプランのみの設定だった。この宿の部屋は落ち着いた和室がメイン。8階の最上階は半露天風呂付きのモダン和室などハイグレードの部屋も用意されている。
3Fの廊下と部屋のドアの前。客室フロアはなんとなく時代の流れを感じさせる古い作りだ。
部屋はツインルーム。全部電気を点灯させたのだが、それでもちょっと暗い感じがする。
ベット周りは落ち着いた色合いでいいのだが、あいにく電源を取れるところがない。
クローゼットのところに金庫がある。金庫にデザインうんぬんもないがちょっと使い古された感がある。
外の景色。山側なんで仕方がない。
アメニティーグッズは過不足なくごく普通に。
テレビは特に見ないので問題はないのだが、冷蔵庫やコンセント周りなどいろんなところで古さを感じさせる。
机というよりドレッサー。もちろん引き出しもなし。ビジネス用途の宿ではないので必要はないのだろうが…
ちなみに場所柄期待はしていなかったが、ネット環境は優先、Wi-Fiいずれもなし(笑)
ソフトバンクはかろうじて4Gの表示が出ていたが、この部屋の入りはすこぶる悪かった。
やはり今の御時勢、宿にネット環境は必須のインフラだと思うのだが…携帯の電波が良くないところだとなおさら思うことだ。
そして水周り。トイレは洗浄機付きになっていたが、その他はやはり前世代的な作り。
ここだけの話ではなく、いつも思うのだがこのトニックウォーターっていったい誰が使うのだろう?(笑)実際誰も使ったと思える形跡がない。
この蛇口とかも温水冷水分離式。部屋も含めて清掃は十分行き届いているのだが、いかんせん施設の経年劣化が目立つ。
その辺りは、周りの騒音にも現れている。上の階や隣の部屋、また廊下からの物音がとにかく響く響く。
自宅での上の階からの物音(どうやったらあそこまで朝晩ドンドン音を響かせられるのかが不思議だが)からしばらく解放されると思ったのだが、それ以上の音を聞くハメになるとは…
他の和室の部屋とかの作りがわからないので、この私の泊まった部屋だけでは何とも言えないが、部屋や廊下の雰囲気は昭和の時代が色濃く残った作りである。
さて、夕食時になったので気を取り直してというわけではないが、浴衣に着替えて2階にあるダイニング『旬の丸』に行く。
ダイニング前の待合室。生け花がある奥がダイニングになっている。同じ建屋なのだが、客室とは様子が一変してモダンな空間だ。
入り口すぐの席が、落ち着いたモダン調になっており、奥にある部屋が明るめのナチュラル調の食事処になっている。
私は奥のナチュラル調の食事処の方に通された。
夕食は地元の食材を使った和会席。萩はふぐの産地である下関からもほど近いということもあって、ふぐ料理も含まれている。
まずは前菜として旬の味覚盛り。
本日のオススメのお造り。右手前の白身は萩でよく水揚げされる、ひらそ(ヒラマサ)だろうか。油が乗って歯ごたえがあって美味い。
桜海老よもぎ信田。油揚げにもち米を詰めてさらによもぎ餅が中に入っている。こういう煮物は好きだなぁ。
鍋物はふぐ、蟹、帆立などが入った贅沢な鍋。淡白だが身が締まってふぐは他の食材の味もしみこんでいい味を出している。
そして揚げ物はふぐの唐揚げ。大きい骨に注意だが、さっぱりかつ上品な旨味。この倍は食べたかったな(笑)
飲み物は萩名物・夏みかんのサワー。地酒(日本酒)を飲みたかったが飲むとそのまま寝てしまいそうな予感がしたのでやめた。
焼き物は黒毛和牛ロース。山口県ないには見蘭牛など牛の産地としても有名なところが多い。これが見蘭牛かはわからないが美味しそうな肉だ。
バターを油に使って焼き、このおろし醤油ダレを使って食べる。バターで肉の旨味を引き出しているのだろうか?肉の濃厚な旨味がしっかり出てさらにこのおろし醤油のアッサリしたタレと非常に良く合う。これは実に美味い!
茶碗蒸しは、ちょっと珍しいふかひれスープの茶碗蒸し。ふかひれがちょっとだけなのが残念だったが、このスープとよく合うのだなと。
山口産コシヒカリともずくの赤出汁。萩というかこの山口県というのは海の幸だけでなく米・野菜・肉など実に食材が豊富な地域なのだなと、今回の旅を巡って初めて知ったことだ。
シメのデザートはパンナコッタフルーツ添え。パンナコッタはなんとも濃厚な味わい。これ単独で出してもいいのではないかというぐらい美味い!
通路側に近い席だったので、日が暮れる萩の町並みを見ながらは叶わなかったが、遠くから見てもいい眺めだなと思った。
夕食で満足した後は、ここの宿最大のウリといってよい温泉の出る1階の大浴場へ。
ここ萩本陣の温泉は、直下2000mからの2万年前から蓄えられ続けてきたと言われる、古代の源泉。
この温泉、もともと温泉のない萩の町の町おこしに1995年、萩本陣の会長である松村さんが温泉掘削に挑んで、掘削深度2,350メートルという当時の温泉ボーリング最高深度で見事に温泉を噴出させることに成功したという歴史がある温泉なのだそうだ。
それだけにこだわりのある湯処になっている。15を超える多彩な湯室を配した湯屋街『湯の丸』
入るとすぐそこは憩い処となっている。リニューアルした設備なのか本丸の方に比べると作りが現代的だ。トイレもバリアフリーの最新の設備だった。
全体的にピンボケ写真になってしまったが、こちらは座敷でのくつろぎの場。マッサージ機も2台ある。
この奥が湯処だ。
庭園の脇を歩いていくとすぐに2箇所の湯処がある。
ちょっと隠れてわかりにくが、真ん中の源泉が沸き出ているところを境に手前が『椿の湯』で奥が『紅葉の湯』。
どうやら時間帯とか日によって、男女変わるシステムになっているようだ。私が入ったときは2日とも夜は手前の『椿の湯』だった。
これが中央を流れる源泉。湯処の一つ『源泉の壷』は源泉そのままに浸かることができるが、入るとかなり温いお湯だった。
カルシウム・ナトリウム ー 塩化物泉。湯温は28.3~34.3度と書かれている。
玄関・下駄箱から脱衣場に入る場所。この先からは撮影禁止なので、写真はここまで。とても清潔感ある新しい施設だ。
この先のお風呂の様子は萩本陣のホームページを見ていただきたいが、内湯・露天風呂ともホームページに載っている通りの見事なお風呂だった。
先程の源泉の壷や、ジャグジー風呂、寝湯、座湯、足湯、サウナなど湯めぐりが実に楽しい。
ナトリウム塩化物泉は、肌にやさしいやわらかいお湯で長い時間入っていて気持ちがいい。
今回入れなくて残念だが、紅葉の湯のほうもスチームサウナや立湯、歩きながら入る湯、アロマの香りが漂う湯など、バラエティー豊かで温泉好きには堪らない場所である。
もう一つ行けなかったところがあったのだが、この萩本陣から、シャトルバスに乗って萩本陣が立っている山の頂上の展望台に行くことができる。(大人520円 子供310円)
この展望台から、足湯につかりながら萩の町が一望できるという素晴らしい場所があったのだが、タイミングが合わずに今回は断念した。
次に来る機会があったら、紅葉の湯や展望台には是非行ってみたい。
まとめ
一日目はオードソックスに1泊2食付きプランを使っての宿泊だったが、今回宿泊した洋室のほうは施設そのものが古いというのもあって、私個人的な感想はうーんという感じだった。さすがに全館リニューアルをするいうのも大変なのだとは思うが、いたるところに廊下や共用トイレも含めて経年劣化の後が見られるのでそろそろ更新の時期に差し掛かっているのかなと言う感じがした。
特に、フロントや食事処、そして大浴場が現代的だっただけに尚更ギャップを感じてしまったのだが、この宿のメインである和室で町や海が一望できる階の部屋はまた違うのかもしれない。
夕食の和会席も地元の食材がふんだんに使われていて美味しいし、また次回以降の記事で朝食についても触れるが、とにかくこの宿に限らず萩の町は食べ物が美味しいところである。
そして2,000m以上も深い場所から汲み上げた源泉のある大浴場は、ここに入るだけでもここに泊まる価値があると思わせるものだった。
日帰り入浴プランも多数用意されているので、湯めぐりと美味しい料理を楽しむという過ごし方もアリだろう。
また次回以降に、ビジネス朝食付きプランとして泊まった『東の丸』と朝食バイキングについて書こうと思う。