SONY FE 50mm F1.8 ソニーEマウント 待望のフルサイズ機対応「撒き餌」レンズは、α7ユーザーなら一本は持っておきたいレンズ

SONY FE 50mm F1.8 ソニーEマウント 待望のフルサイズ機対応「撒き餌」レンズは、α7ユーザーなら一本は持っておきたいレンズ
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この記事を書いた時点では、唯一35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレス機であるソニーのαシリーズ。(正確にはライカもフルサイズミラーレス機を送り出しているが、一般庶民に手に入るシロモノではないので除外している)

そのαシリーズの中でもα7シリーズ(α99やα77もあのボディーサイズでミラーレス機である)はフルサイズセンサーを搭載していながら非常にコンパクトなボディーで、フルサイズ機を持ちたいけどデジタル一眼レフは大きさや重さが…と言うのがあって購入を躊躇っている人達にはとても気になる存在であろうと思う。

 

ただ、このα7シリーズが気になっていても、なかなか購入に踏み切れない人も意外と多いのではないだろうか?

その大きな理由の一つがこのα7のレンズマウントであるEマウントに対応したレンズのラインナップの少なさだろう。

まだEマウントのフルサイズ機である初代α7が発売してから二年半ほどと歴史が浅いのもあり、他のカメラメーカーのマウントに比べるとラインナップの豊富さは見劣りがするのは事実。

特に、プロやハイアマチュア向けのフラッグシップ級レンズと、エントリー向けのいわゆる「撒き餌」レンズの少なさは、他メーカーのデジタル一眼レフからミラーレス機へ移行したいユーザーやステップアップでフルサイズのミラーレス機を使いたいユーザーはなかなか手を出しずらいところであろう。

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そういった状況も、今年に入って大きく改善。

フラッグシップレンズであるGMシリーズは現時点で3本発表され、うち標準ズームと85mmの単焦点レンズの2本が既にリリース。近日中に望遠ズームもリリースされる。200mmを超える焦点距離のレンズも高倍率ズーム一本のみであったが、70-300mmのGシリーズがリリースされ、レンズのラインナップ不足による不満はかなり改善されたと言えるだろう。

 

そして、エントリーユーザーがまず最初に購入するであろう単焦点レンズと言えば、50mm前後の焦点距離を持ついわゆる標準単焦点レンズであろう。

実はEマウントレンズで「SONY E 50mm F1.8 OSS(SEL50F18)」という50mmの焦点距離を持つレンズがあるのだが、こちらはAPS-Cセンサー搭載のα6000/α5000シリーズ専用(APS-C機に装着すると実焦点距離の1.5倍となるため75mm相当になる)のため、フルサイズ機であるα7シリーズに使う事ができない。

フルサイズ機対応の50mm前後の単焦点レンズは、「SONY 55mm F1.8 ZA(FE55F18Z)」があるが、こちらは中身がドイツのカールツァイス製の高級レンズ。素晴らしい描写を見せるレンズであるが、価格も実売で8万円前後と特にエントリーユーザーには少し敷居が高いレンズでもある。

そんな感じで、他メーカーのレンズマウントには大抵ラインナップされている、気軽に使える標準域の「撒き餌」レンズがEマウントに存在しなかったのだが、この春待望の標準単焦点レンズが加わった。

 

それが今回紹介する「SONY FE 50mm F1.8(SEL50F18F)」である。

価格は実売で3万円前後。例えばキヤノンEFマウントの同クラスのレンズである「EF50mm F1.8 STM」の実売価格が1万5千円前後ということを考えると割高感は否めないが、それでもFE55F18Zの半額以下と、手に入れやすいことには変わりはない。

実は私はこのレンズを使う前に、先程ちょっと触れたキヤノンの単焦点レンズである「EF50mm F1.8 STM」にEFマウントレンズからEマウントのボディに装着できるアダプターを介して使っている。

このEF50mm F1.8 STM+マウントアダプターやFE55F18Zもお借りして何度か使用したことがあるので、それらとの比較なども含めての画質や使用感などをレポートしていきたい。

外観等

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コンパクトなオレンジ色の箱の中身はシンプルそのもの。レンズ、レンズフード、レンズキャップ、それに保証書と説明書のみ。

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レンズ本体の外観。側面にはMF(マニュアルフォーカス)時にピントを調整するフォーカスリングがついているだけの超シンプル構成。AF/MF切替スイッチがあれば尚よかったのだが。。。

大きさは最大径が68.6mm、長さが59.5mm。α7IIに装着してみるとコンパクトで非常にバランスがいい。街中スナップでも変な威圧感を与えない大きさでないだろうか。

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手振れ補正機能は当然の事ながらレンズ側にはないので、本体側の手振れ補正機能を使う事となる。フォーカスリングは比較的大きめで、トルク感も軽くもなく重くもなくちょうどいい感じ。

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フィルター径は49mm。ただレンズ前玉がかなり奥に引っ込んでいるので私はプロテクトフィルターつけてないけどね。

最短撮影距離は0.45m。MFであればあと2、3cmは寄れる感じだが、このクラスのレンズとしては平均的か。ただ、EF50mm F1.8 STMが0.35mとかなり寄れるレンズなので、個人的にはもう少し寄れてほしいなとは思った。

レンズ構成は5群6枚。絞り羽根は7枚の円形絞りを採用している。

Eマウントなので、α7シリーズはもちろんのことAPS-Cセンサーを搭載してるα6000/α5000シリーズにもちろん使う事ができる。その場合、焦点距離は1.5倍となるため75mm相当となる。

 

EF50mm F1.8 STM+マウントアダプター(Vitrox MOUNT ADAPTER EF-NEXII)との大きさの比較。

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長さはレンズキャップ分ほどFE 50mm F1.8のが小さいがほぼ大きさに違いはない。重さはマウントアダプターにかなり重量があるので(三脚座が付いている分もあるし、大型の望遠レンズ等を装着することも考えて強度が必要だろうから当然だろうが)重さに関してはFE 50mm F1.8の方が圧倒的に軽量だ。実際α7IIに装着した時もフロントヘビーな感じは全くない。コンデジのように片手持ちの撮影すら可能だ。

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実写における使い勝手や画質など

さて実際に撮影してみての使い勝手だが、発売前から遅いという噂のあったAF(オートフォーカス機能)。このFE 50mm F1.8のAFモーターはDCモーターを採用しているが、実際に撮影してみると噂通りAFはお世辞にも早いとはいえない。(最速でも0.4~0.5秒ぐらいかかっているか)気になる動きとしては合焦させるたびに、フォーカスレンズが前後に動き出しまたその動きの収まりにタイムラグを感じてしまうことだ。α7IIと同時購入した標準ズームレンズ(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)のAFの速度は体感的にもFE 50mm F1.8の倍の速さ。さらに気になるのはそのモーターの動作音だ。FE 28-70mm F3.5-5.6 OSSは殆ど動作音が聞こえないが、FE 50mm F1.8はフォーカシングする度にウィーンウィーンという動作音が耳に入ってくる。

私は基本的に動画はやらないのだが、動画で利用する場合はこのモーター音をかなり拾うのではないか?と試したところ、静かな室内ではしっかりとこの動作音を拾っていた。少なくとも静かな場所では使い物にはならないだろう。

 

AF-Sモードつまり通常のワンショットAFであれば、ちょっとAFが遅いかなぐらいのレベルなのでEF50mm F1.8 STM+マウントアダプターを装着した時のフォーカス精度(この組み合わせはかなりAFが迷う事が多い)に比べればはるかに高く、実用上は特に問題はない。

但し動体撮影に使うAF-C(追尾モード)となるとこのモーター駆動の遅さがかなり精度に影響する。個人的には積極的にAF-Cモードで使いたいとは思わなかった。基本的にAFはAF-Sモードで割り切って使うモノとした方がいいと思う。

 

ポートレートでも使用してみて、顔検出AFや瞳検出AFを試してみたが、認識の精度はツァイス冠の55mmレンズであるSONY 55mm F1.8 ZA程の認識精度ではないものの、特に大きくは不満も感じなかった。

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絞り:F2.0  SS:1/1000秒  ISO100 マルチ測光(+0.3補正)

実際に撮った写真の画質はというと、思ったよりコントラストがしっかり出ていて発色は好印象。

解像力は絞り開放では、中央部も気持ち甘めの描写。SONY 55mm F1.8 ZAのような開放値からのキレ味はない。が、レンズの価格を考えれば十分ではないだろうか。個人的には開放値からキレキレのシャープさよりもややユルめの方が好みではある。

ボケ味は上の写真やすぐ下の写真を見ての通り、前ボケ後ろボケとも大きなクセは感じられず、素直なボケ味である。玉ボケに関しては絞り開放では口径食により玉ボケが楕円状のボケになるが一段絞ると、ほぼ解消する。絞り過ぎると丸ボケが七角形ボケになってしまうので、綺麗な形の丸ボケを出すには開放から一段絞る辺りが一番よいのではないだろうか。

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絞り:F2.8  SS:1/40秒  ISO800 スポット測光

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絞り:F4.0  SS:1/2000秒  ISO100 マルチ測光(+0.3補正)

解像力に関しては、開放値ではやや緩めの中央部も,一段絞ればシャープさは一気に増す。周辺部も含めるとF5.6~F8辺りが解像力のピークではないだろうか。

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絞り:F8.0  SS:1/60秒  ISO400 マルチ測光(露出補正なし)

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絞り:F1.8  SS:1/320秒  ISO800 スポット測光

先にも書いたが、最短撮影距離は45cm。このクラスのレンズとしては標準的ではあるが、花などの撮影ではもう少し寄れたらなぁと、もどかしくなることが少なからずあった。

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絞り:F5.6  SS:1/100秒  ISO200 マルチ測光(露出補正なし)

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絞り:F4.0  SS:1/320秒  ISO200  マルチ測光(露出補正なし)

逆光耐性は日中の太陽をフレーム内に入れた撮影ではさすがにゴーストの発生は避けられないが、それはこのレンズに限ったことではなく、フレア・ゴーストともよく抑えられているのではないだろうか。

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歪曲収差は、ほんのわずかにタル型が見られる程度で、パッと見では全く気にならないぐらいの優秀なレベル。

色収差に関しても等倍で画像を確認する限り、絞り開放側で少しばかり確認できる程度で、ハッキリと目立つような部分は見つからなかった。

周辺減光は、開放値近くではそれなりに目立つが、F5.6辺りまで絞るとほぼ目立たなくなる印象だ。

まとめ

ただでさえ、コンパクトに文章をまとめるのが苦手な私だが、レビュー記事となるとそれに輪をかけて長くなってしまう。最後まで読んで頂いた方にはただただ感謝である(汗)

さて、SONYのα7ユーザーとしては待望とも言える、手軽に単焦点レンズの魅力を味わう事ができる「撒き餌」レンズの登場となったわけだが、結論としては、最初に買う単焦点レンズとしては十分満足いくレベルのものになっていると個人的には思った。

 

撒き餌レンズとしては他メーカー(他マウント)のレンズに比べると割高ではあるが、それでも他のソニー製Eマウントの単焦点レンズはいずれもハイエンドクラスばかりなので、特にエントリーユーザーは手を出しにくい。そこへ行くと本レンズはAF速度や精度などの部分で多少妥協しているところはあるものの、光学性能そのものは価格に以上に見合うモノ。単焦点ならではの描写の良さや大きなボケ味など、一般的な標準ズームレンズでは難しい表現の世界を知るには一本は持っておいて損することはまずないレンズである。諸事情でポートレート写真を本記事に掲載することはできないが、日常スナップや風景だけでなくポートレートレンズとしても十分満足のいく一本である。

エントリーユーザーならずともα7シリーズにこのレンズを装着しておけば、日々持ち歩いてスナップ等を楽しめるサイズ感であろう。

 

ちなみにこのレンズを使い始めてからEF50mm F1.8 STM+マウントアダプターの出番はついになくなってしまった。逆にそうなってくれないとかなり問題ではあるので当然の事なのだが、他のEFレンズ群を装着できるマウントアダプターはともかく、EF50mm F1.8 STMはお役御免ということで、近々キヤノンユーザーの友人の手に渡ることになりそうだ。

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