松蔭神社(松下村塾)・城下町など萩の町を散策して思ったこと ~ 山口・萩の旅(その15)
旅から帰ってきてはや2ヶ月以上が過ぎようとしているのになかなか終わらせないでいる山口・萩の紀行だが、ようやく今回の記事をもって終わりを迎えることになる。(といってもその一つ前の記事が10月6日にアップしてあるのでなんだかんだ1ヶ月あいてしまったということか!)
前回までは主に宿や食事処などを中心に紹介する記事を書いていたが、今回は萩の町で訪れた場所を簡単に紹介していこうと思う。
初日は夕方に着いてすぐに宿に引き篭もってしまっため、萩の町の散策は2日目からとなった。
今回利用した宿、『萩本陣』を出て一番近い場所にある『松蔭神社』へ向かう。
初日は時折雨交じりの天気だったが、この日は朝からいい天気になってくれた。
途中、というか宿の周りもそうだが、萩の町のスポットのいたるところに来年放映されるNHK大河ドラマ『花燃ゆ』ののぼりが立っている。
この『花燃ゆ』は、幕末の世、この地で生まれ育った吉田松陰の実家である杉家の家族と松蔭の門下生である維新志士達の物語である。
最近大河はおろかテレビを見ることすらめっきりなくなってしまった私だが、幕末を舞台にした大河ドラマをやることは知っていたがまさかこの萩が『花燃ゆ』の舞台だったとは…。
そのドラマの中心人物の一人、吉田松陰が祀られている松蔭神社に到着。
ここには、松蔭の元で数多くの維新志士を生み出した『松下村塾』が当時のままの姿で残されている。
安政の大獄によって30歳という若さで志半ばにして生涯を閉じたが、その松蔭の意思を引き継いだ門下生達によって長きに渡った武士の時代を終わらせ、明治という新たな時代を作った。
当時の江戸や京から遠く離れた小さな町の一人の人物から始まった、思いと情熱と行動力。
ネットが発達して現代は一人の人間が容易に情報を発信することができるようになって、一人の人間が日本中の人間を動かすことが出来ることすらもそれほど難しい時代ではなくなった。
現代に比べると移動手段も伝達手段もとてつもなく遅い当時で、日本中を突き動かすことなど容易ならざることだっただろう。
一人の人間の持つ思いや情熱というもののエネルギーの凄さというものをこの場所で感じさせられた。
先程も言ったが、それに比べると現代は誰もが自由に情報を発信することができ、その気になれば日本だけでなく世界中の人々ですら動かすことができる。素晴らしい世の中になったと言えるのではないだろうか。
松蔭神社を後にして、少し山を登ったところにある吉田松陰誕生の地へ。
誕生地傍には吉田松陰と金子重輔の像が立っている。
像の前から萩の町が一望できる。
そして山を下り、東萩駅まで戻りそこからレンタサイクルを使って城下町へ。
歴史好きの方は御存知かと思うが、この萩という町はもともと毛利輝元が1604年にこの地で築城・開府してから幕末に山口へ藩府が移るまでの約260年もの間、36万石の城下町として栄えた所だ。
今ではひっそりとした静かな港町といった趣だが、城下町を中心に当時の町並みが色濃く残されている。
こちらは奇兵隊で有名な高杉晋作誕生の地。
萩藩の豪商、菊屋家の住宅。
幕府巡検使の宿として本陣としての役割も持っていたという。
当時のトイレもほぼそのままの形で…こんな感じだったのか。
維新三傑の一人。木戸孝允(桂小五郎)の生家。
このような作りの家が、町の至るところにほぼそのままの状態で残されている。単に観光スポットとして保存されているだけでなく、今も民家として人が住んでいたり、カフェなどの店舗として生活の場として存在していることが驚きだ。
萩市は古くからこの歴史的な遺産を残そうと、町全体を挙げて取り組んできたようだ。400年からも続く町並みで施設の老朽化もあるだろうし、状態を維持していくことも相当大変なのだろう。今の日本は古い施設や町並みをいとも簡単に捨ててしまい、過去や歴史を大事にしない民族なのかなと思うことがたまにある。
こうして長い年月をかけて現代の日本を作り上げてきたのはこういった歴史があってこそ。こうして残されたものから人の生き方を学ぶことは多いと思うのだが…。
日の入り時間前には夕陽の名所、菊ヶ浜へ。ここは日本の夕陽百選にも選ばれているほどの夕陽が美しいスポットだ。
あいにく水平線に雲が多く、日の入りのシーンや美しいトワイライトはお預けとなってしまったが、海も綺麗で美しい浜辺だった。
維新志士達は毎日この美しい浜辺を見ながら何を思ったのだろうか…。
今回の旅は萩という場所柄もあってあまりあちこち移動したりせず、同じ場所を基点にゆっくりとした旅となったが、少しゆっくりしすぎてこじんまりとした萩の町でも全てのスポットを回りきれなかった。
萩城跡(指月公園)を初めとした堀内エリアや東光寺。そして有名な萩焼の窯元など行きたかったところを全て回れなかったのは心残りではあったが、また次に訪れる時の楽しみとしようと思う。
菊ヶ浜の美しい夕陽もまた見たいしね。
- 萩の観光情報は以下のリンクをチェックするとよいでしょう。