迫力ある写真が楽しめる超広角レンズ OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROを使ってみた!
先日ですが2日間ほど、超広角レンズををお借りして、自宅近辺や都内などをフラフラ歩きながら試写してきました。
今回使ったレンズは、オリンパスのマイクロフォーサーズマウントレンズ、『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO』。今年の6月に発売したばかりの超広角レンズです。
製品名に『PRO』の冠がある通り、オリンパスのマイクロフォーサーズ(以下、M4/3)レンズの中でも最上位に属するレンズ。ズーム全域で開放F値2.8の明るさを持っています。
実焦点距離は7-14mm。35mmフルサイズ機の焦点距離に換算すると14-28mm相当。いわゆる標準ズームレンズのもっとも広角側が24mmや28mm相当なので、14mm相当というのはレンズ交換式カメラについているレンズやスマホ、コンデジにもない焦点距離なので、ほとんどの人がどのような写り方をするのか知ることのないレンズと言えます。
このレンズを使うきっかけは2つ。以前ニコンのフルサイズ機と14-24mmを借りたのですが、結局使う機会にほとんど恵まれずに返却してしまってもう少しじっくりと超広角レンズを使ってみたいなと思ったこと。
もう一つは、今回お借りしたレンズ、実は今後購入予定の最有力レンズ。ところが、諸々事情で今のM4/3機本体も含めてそう遠くないうちに手放す予定。それまでの間に一度使っておきたいなと思ったからです。
いずれにしろ、人間の視野角よりもむしろほかの生き物に近い視野角を持ったレンズ。使いこなしがかなり難しそう。。。しかし何事もチャレンジをモットー?している私ですので、そこは失敗を恐れず。。。最初からうまくいかなくて当然。そこから学べばいいんですよ!
何分慣れないレンズということもあり、拙い写真にさらに磨きがかかっておりますが、こんな感じの世界が表現できるのだというのが伝わればよいかな?ということでお付き合いくださいませ。
まずは、どんなレンズかということで外観。いきなりE-M1に装着した状態で。
M4/3レンズとしてはかなりの大きさと重量級になりますが、装着した感じはフラッグシップ機のE-M1とのバランスは抜群。もともとこのE-M1をはじめとすOM-Dシリーズへ装着を前提で設計されていると思った方がいいでしょう。PENシリーズでは相当フロントヘビーな感じになります。
同じPROシリーズの標準ズーム12-40mm F2.8 PRO(右)と並べてみても、一回り大きい感じ。
このレンズ、レンズフードと一体になっているので、レンズカバー(キャップ)はレンズフードごとかぶせるタイプ。カチッとレンズ本体にシッカリはまるので普通のレンズキャップのようにモノに当たったりした弾みで外れてしまったりという心配がないのがいいです。
さすがにレンズ表面がここまで大きく張り出しているので、レンズに直接フィルターの装着はできません。
このレンズに限ったことではなく、他メーカーのレンズも同様。超広角レンズの宿命ですね。
PROシリーズということで、防塵防滴にも完全に対応しており、衝撃耐性も高そうな作りこみでマイクロフォーサーズマウントのレンズにありがちな安っぽさは全くありません。
PROシリーズではおなじみのMFクラッチ機構も装備。フォーカスリングを手前に引くだけでAF(オートフォーカス)からMF(マニュアルフォーカス)に瞬時で切り替わるこの機能は便利!
同じくカメラ本体の機能を割り当てて操作の向上を図れる、L-FnボタンもPROシリーズならでは。
私の持っている標準レンズ12-40mm F2.8 PRO同様、ズームリング、フォーカスリングとも適度な重みがあって操作感抜群です。
…ということで実際に撮ってみた
まずは普通の標準レンズの広角側とどれくらい違いが出るのかが次の写真。
まずはこのレンズの望遠側となる14mm…すなわち35mm換算では28mm相当になりますが、だいたい標準レンズの広角側だとこれくらいの範囲が写ります。iPhoneなどのスマートフォンもこれに近い感じですね。
次に、このレンズの最も広角側7mm(35mm換算で14mm相当)で撮った写真。
見ての通り見える世界がまったくの別世界!東京タワーがずいぶん遠くなってしまいましたが、これは広角レンズの特徴である遠近感の強調。。。つまり近くのものはより大きく、遠くのものはより小さく見えるようになるわけです。写真用語ではパースペクティブと言うのですが、超広角レンズらしい写真を撮るにはこのパースペクティブをいかに生かすかにかかってきます。
単に広い範囲を移せるからといって、どこまでも広がる海と空を!なんて撮ると下のような残念な写真ができあがります。
変化に乏しい海と空を二分割した何の印象にも残らない写真になってしまいます。
あぁ、東京の海側の街並みが一望できるね。。。それでお終い。何が撮りたかったのがわからない写真になってしまいました。
広範囲に写るからといって、スナップ的に撮ると間延びした何の面白味もない写真になるのが超広角レンズの難しいところです。
超広角レンズでインパクトのある写真にするには、フレームいっぱいに遠景のものを入れつつ、手前にアクセントになるものもフレームインさせるのがオードソックスな方法です。
なんてエラそうなことを言ってますが、私の拙い写真でどれくらいいくつか晒してみます。
今回はほとんど広角端の7mm(14mm相当)から10mm(20mm相当)で撮影してみました。HDR処理をしている一枚だけを除いて残りはすべてJPEG撮って出しです。
下のイルミネーションは開放値(F2.8)で撮影。広角側にするほど被写界深度が深くなりぼけにくくなりますが、奥の方にピントを合わせると手前はそれなりにボケてくれます。
夕日を直接入れた逆光での撮影。超広角レンズはフレアやゴーストが出やすい特性がありますが、オリンパスのZEROコーティング技術によってかなり抑えられている感じはします。
ゴーストは特に逆光時の広角側では発生することは多かったですが、うるさい感じではなく、フレアについてはほとんど気にならないぐらい抑えられてました。
バックに青空を入れて目の前の踏切を撮影。上のコスモスの風景もそうですが、前景をアップにしながら背景も広く写せるのは超広角レンズならでは。このようにカメラをローアングルから見上げるように撮ると、被写体が大きく内側に傾いて写るのが大きな特徴。
このように強烈なパースペクティブがかかって被写体がデフォルメされるので、インパクトはあるのですが、正確な形を表現したい場合には超広角レンズは向かないのですね。できるだけデフォルメされないように撮るには、上下に傾けずにできる限り地面とカメラの方向が平行になるように撮らなくてはなりません。
少し話は変わりますが、iPhoneなどのスマートフォンのカメラもこのレンズほどではないにしろ広角レンズに属するので、ペースペクティブによってカメラを上に向けて撮ると被写体が内側に倒れるような感じに、下に向けて撮ると外側に引っ張られるような感じがより隅にある被写体ほど強く出るようになりますので、スマホカメラで元の形を崩さずに撮るにはできるだけメインの被写体を中央に(可能であればアングルも地面と平行に。。。料理の写真とかは無理だと思いますが。。。)配置することがポイントです。
被写体にかなり寄れるのもこのレンズの大きな特徴。スペック上の最短撮影距離は20cm。レンズ先端からだと10cm足らずまで被写体に寄れるんですね。下の写真はそこまでは寄っていないのですが20cmと離れていない花を手前に入れて都庁を撮ってみました。
天にかざすイメージでこんな構図で撮ってみたのですが、超広角レンズってこのような感じで物語性を作り上げるのに適したレンズなんですよね。
その前に普通に撮ったカットが下の写真。綺麗には撮れているのですが、ただそれだけで面白くないんですよね。
文明と自然の共存。こんなのが表現できるのも超広角レンズならでは。
やはり広角レンズは物語性を持たせて撮るのが基本かなと。ちょっと私の実力ではこのレンズの良さを引き出すのは難しい。。。もう少し長く使い続けたいものです。
写真の出来栄えはともかくとして。。。超広角レンズだとこんな感じで撮れるよ!というのは何となくわかって頂けたのではないかと思います。
使ってみた感想としてどんな人におススメか?ですが、焦点距離が(35mm換算で)20mm未満の超広角レンズは迫力を出したり物語性のある写真を撮りたい人には文句なしにおススメできるレンズなんですが、使いこなしも難しいのも事実。標準レンズのようにスナップ的な撮り方ができるレンズではなく(使ったとしても望遠端の24mmとか28mm相当あたりか)重さも大きさもあるので、常につけっぱなしにして使うレンズには正直向いていません。
基本的には広角好きの人以外にはおススメしにくいレンズですが、普段標準レンズを使っていてなんとなく自分の写真がマンネリ化しているとか、人とはちょっと違った表現の写真を撮ってみたいとかであれば、このような超広角レンズにチャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。
もちろんオリンパスのミラーレス機を持っている人で超広角レンズを狙っているユーザーには無条件でおススメのレンズです。
とりあえず、この2日では撮りたいシーンをすべて撮れなかったですし、もう少し使いこなしたいなという気持ちもあるので、E-M1を手放す前にあと1、2度は使ってみたいなと思ってます。
超広角レンズ、難しいけどこれは使っていて楽しいです!!
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