高倍率ズームレンズ使いから単焦点レンズ縛りにしようと思った理由 | デジタル一眼ステップアップ
先月末、2泊3日の旅に出る直前に、50mm相当の画角を持つ単焦点レンズを購入しました。
ここ暫くの間は高倍率ズーム『LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6』一本をほぼ着けっ放しの状態を使っていたのですが、ちょっと思うところがあって50mm相当(35mm換算)の単焦点レンズを使ってみたくなったのですね。
今回購入したのはオリンパス『M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8』。マイクロフォーサーズ機のレンズなので35mmフルサイズに換算すると焦点距離が2倍になるので50mm相当になります。
オリンパスの交換レンズは、フードが別売りが基本なんですが、このレンズはフードが(LH-49B)が標準でついてます。最近リリースされたレンズなので既存ユーザの要望でフードをつけるようにしたのかもしれません。同じマイクロフォーサーズのLUMIXシリーズは付いてますしね。
E-PL3に装着した時の画像。シルバーもあるんですがあえて本体と違うブラックにしたかというと…そりゃ、しばらく買うのを諦めた『OM-D EM-1』に装着するのを考えてのことですよ(笑)
高倍率ズームは便利だが、便利さゆえの弊害も大きい
これで旅のお供も含めてしばらくの間は特別目的のシーンがある場合を除いて、コレ一本だけ持ち歩いていこうと思います。
なんで便利な高倍率ズームを外して、融通性の利かない標準の単焦点レンズ縛りにするのか?
以前も高倍率ズームレンズを薦めるエントリーを書いていながら、やってることは間逆じゃねーかオマエ!って言われそうですよね(^^;;
いえいえ、高倍率ズーム自体を否定しだしたとかそういうわけではなく、考え方は全く変わっていないですよ。
ミラーレス一眼なりデジタル一眼レフあり、レンズ交換式一眼カメラの最初の一本は費用的なものも考慮して、高倍率ズーム一本あれば入門者でもシーンを選ばず楽しく写真を撮ることを楽しめますし、さまざまな撮影シーンがあってかつ荷物を出来るだけ軽くしたいような旅先での撮影などはまさに高倍率ズームがうってつけだという考えはまったく変わっていません。
ただこの便利さが、写真を撮る技術の向上へフォーカスを当てた時、『想像力の欠如』と言う弊害を生んでるのかなと思うことがあるのです。
高倍率ズームを使うようになって思うのが、とにかく自分から動いたりすることが少なくなった。安易にズームリングを回すことが多くなりましたね。
それとズームリングを回して簡単に写せそうな被写体ばかりを探すようになってきた。敢えてしゃがんだりとか真下から覗き込んだりとか、前に移動したり後ろに下がったり…自分の足を積極的に使って絵になりそうな被写体を探すという事をしなくなってしまったのですよね。
これって撮る写真のバリエーションがいつも決まったものになってしまうんですよね。なんか自分の撮った写真って響くものがなくてツマラナイ写真が多いなと最近感じることが多いのもそれと無関係ではないと思うのです。ファインダーを通して自分ならではの視点とか見える世界とか…そういうのを養っていくのってただひたすらシャッターを切ればいいという話ではなく自分の足を使ってさまざまな目線で被写体を捉えるということなしではいつまで経っても上達はしないのではないかと思うわけです。
安易に高倍率ズームに頼る弊害はもう一つ。『メカニズム的な理解の欠如』という点もあります。
例えば下の写真。近所の多摩川の土手からマンションを撮った時の写真なのですが、50mm相当の画角で撮った写真。
この位置から撮ると、見ての通りマンション全体が入っておらず、なんとも中途半端な写真ですね。
それで、この位置からズームリングを回して、28mm相当まで広角側にして撮った写真。
50mm相当の画角で、この上の写真と同じぐらい大きさにマンションを写すには当然後ろに下がらなければなりません。
この上の写真が、先ほどの位置からだいたい40m以上下がった位置から撮った写真。だいたい28mmで撮ったのと同じ大きさで撮れました。
この写真を見比べてみると一目瞭然だと思いますが、ほぼ同じ大きさで撮ったモノでも周りに写っているものや写り方はまったく違うことがわかると思います。
50mmの画角ではだいたい人の目に入ってきたのに近い感じで撮れます。一方28mmでは画角が広まる分より広範囲のモノが写るようになり、さらに遠近感が強調されるような写り方になります。
好みの問題もありますし、本来の形を忠実に写すという目的があるような場合は別ですが、大抵の人は上の広角側で撮った写真のが見栄えがすると思うのではないでしょうか。
ちなみにiPhoneなどのスマートフォンについているカメラのレンズも大体30~38mmぐらいでやや広角なんですよね。
遠近感が強調される広角レンズ、逆に遠近感が圧縮されて写せる望遠レンズに比べると、50mm前後の標準レンズは単調な写真になりがちです。
こういったレンズの特性を考えた上での自分ならではの絵作りがイメージできてれば、高倍率ズームレンズを使ってもいい写真は撮れると思いますが、ただこの位置からでは入らないから、ここからだとちょっと遠いからというだけの理由で安易にズームリングを回して撮るだけでは、いつまで経ってもレベルアップは図れないと思いました。
ということで、まずはナチュラルな標準レンズで縛りをつけて、自分の足を使ってさまざまな視点から撮るクセをつけるようにしてから、広角や望遠レンズも併せて使うようにしてそれぞれの絵作りを理解しながら、少しでも見栄えのする自分ならではの視点で写真が撮れるようにステップアップをしていこうかと思います。
この『M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8』というレンズ。まだ使い始めですが、クセのないレンズでやはり高倍率ズームとはド素人の私でも違いがわかるくらい解像力は一味も二味も違いますね。F1.8という明るいレンズで、かつこれだけしっかり描写してくれて実売3万円前半はかなりお買い得ではないかなと思います。
WB:オート、プログラムAE、F1.8、1/60秒、0EV、ISO1000
WB:オート、絞り優先AE、F4.5、1/1000秒、0EV、ISO200
WB:オート、絞り優先AE、F6.3、1/1000秒、-0.3EV、ISO200
WB:カスタム、絞り優先AE、F8.0、1/250秒、-0.7EV、ISO200
いや~しかしこのレンズ、テキトーに撮ってたりするとホントにつまらない写真になるんですよねぇ。広角とかだとテキトーに撮った写真でも誤魔化しは効いてたんですが、ほぼ見たまんまの通りにしか写らないので、己の技量がはっきりとわかります。はぁぁ…(ため息)
しばらくは目的があって他のレンズを使う理由がない限り、この標準単焦点レンズ一本で腕を磨くことにします。
まだレンズのほうも使い始めたばかりなのですが、ここ最近撮った写真を見る限りなかなかいいレンズを買ったなと思いました、使用感などはまた後日レビュー記事でも書こうと思います。